監修 黒川俊雄(慶応大学・桜美林大学教授) 小越洋之助(國學院大学教授) 目次 発刊にあたって ・多国籍化する大企業の利益優先のグローバル化。 今、だからこそナショナル・ミニマムの実現を ・ナショナル・ミニマムの実現と全国一律最低賃金制の確立は密接不可分 ・労働者とナショナル・ミニマム 「構造改革」で民間も公務も雇用破壊、賃金破壊 労働者にとってのナショナル・ミニマム、全国一律最低賃金制 私たちが求める全国一律最低賃金制 ・農業者には賃金を確保できる価格の保障を ・中小企業や自営業者の公正な取引条件の実現 ・公契約運動でダンピング規制を ― 公契約規制運動における「公正で適正な賃金」と全国一律最低賃金制 ― 小越 洋之助 ・生活保護制度の拡充と、社会保障制度を全国一律最低賃金制を連動させる ・「最低保障年金」制度の実現が高齢期のナショナル・ミニマム |
国民的最低限保障― 貧困と停滞からの脱却
増田正人/黒川俊雄 / 大月書店2010/07
¥3,360 (税込)
ナショナル・ミニマムの軸となる最賃制
黒川俊雄/小越洋之助 / 大月書店2002/01
¥1,575 (税込)
いまなぜ労働者協同組合なのか
黒川俊雄 / 大月書店1993/04
¥2,039 (税込)
地域産業構造の変貌と労働市場の再編― 新産業都市いわきの研究
黒川俊雄 / 法律文化社1988/03
¥8,925 (税込)
労働組合をつくりかえる― 労働組合の選択 どうなるブックス
黒川俊雄 / 労働旬報社1988/04
¥1,478 (税込)
資本輸出と労働問題 社会政策学会年報
黒川俊雄/社会政策学会 / 御茶の水書房1975/00
¥2,940 (税込)
日本生産性本部― その実体と役割
黒川俊雄/佐竹五三九 / 青木書店1970/00
¥682 (税込)
現代の賃金理論 労旬双書
黒川俊雄 / 労働旬報社1976/00
¥1,260 (税込)
現代賃金闘争の理論 労旬双書
黒川俊雄 /労働旬報社1977/11
¥1,470 (税込)
労働組合の民主的変革シリ−ズ・現代の労働と生活
黒川俊雄 / 労働旬報社1985/03
¥2,520 (税込)
現代労働の支配と変革シリ−ズ・現代の労働と生活
黒川俊雄 / 労働旬報社1984/11
¥2,520 (税込)
婦人労働者の賃金と雇用
現代の婦人労働 1黒川俊雄, 嶋津千利世, 犬丸義一
労働旬報社
1978年6月
労働者の生活と家事.育児
現代の婦人労働 3黒川俊雄, 嶋津千利世, 犬丸義一
労働旬報社
1978年8月
労働運動と婦人労働者
現代の婦人労働 4黒川俊雄, 嶋津千利世, 犬丸義一
労働旬報社
1978年12月
現代日本の経済構造 現代日本の構造選書
黒川俊雄 / 法律文化社1982/07
¥3,465 (税込)
社会政策と労働運動
黒川俊雄 / 青木書店¥2,310 (税込)
現代労働問題の理論
黒川俊雄 / 労働旬報社1968/11
¥1,300
最低賃金制論 その歴史と理論
黒川俊雄 / 青木書店1958
¥504 (税込)
黒川俊雄 / 青木書店
1956
¥210 (税込)
職場の賃金問題 〈52〉 労旬新書
黒川俊雄 / 労働旬報社¥420 (税込)
1970
最低賃金制入門 〈61〉 労旬新書
黒川俊雄 / 労働旬報社1966
社会政策と労働問題 〈第2巻〉 ― 大友福夫先生還暦記念論文集
大友福夫/黒川俊雄 / 未来社1983/05
¥8,400 (税込)
労働組合運動の現代的課題 ― 大友福夫先生還暦記念論文集第1巻
大友福夫/黒川俊雄 / 未来社1983/03
¥8,925 (税込)
労働組合の組織と活動
黒川俊雄/フランス労働総同盟 / 労働旬報社1979/02
¥1,680 (税込)
労働組合運動と経済学
黒川俊雄/フランス労働総同盟 / 労働旬報社1978/10
¥1,680 (税込)
労働運動総合研究所(労働総研)は、1989年12月11日、「労働運動の必要に応えるとともに国民生活の充実向上に資することを目的に」設立されました。今年、設立20周年を迎えるにあたり、設立当初の代表理事である、黒川俊雄さんに寄稿していただきました。
世界各国で高次元の国民共同行動を
黒川 俊雄
労働総研設立20周年を迎えて、設立当初の代表理事であった私は感慨無量です。86歳を超えた私より若い研究者や活動家との「グローバル化とナショナル・ミニマム研究会」の成果を共著として公刊すべく悪戦苦闘中です。
2008年米国発金融危機後の現在、世界は単なるリセッションではなくダウンターンに直面しています。09年6月ILO総会は世界各国の政労使代表の満場一致で『グローバル・ジョッブス・パクト』(仕事に関する世界協定)を採択し、その具体化によって「雇用と社会保護をあらゆる経済・社会政策の中心に据える総需要刺激策」を追究していく方針を決めました。ILOはすでに03年の総会で採択した『雇用関係に関する決議』の中で「被用者であるなしにかかわりなく、すべての働く人々に適用される広義の労働者」が「雇用関係に伴う保護」を得られるようにし、「社会保障」よりもっと広い範囲で適用される「社会保護」をシステム化することを決めました。
すでにEUは01年に「グリーン・ペーパー」を、02年に「ホワイト・ペーパー」を公にして、「企業の社会的責任」(CSR)を「責任ある行動が持続可能な事業の成功につながるという認識を企業が深めて、社会・環境問題を自発的にその事業活動とステークホルダー(利害関係者)との相互関係に取り入れる」としていましたが、ILOは、07年の報告書で、「経済」を加えて「持続可能な発展の三要素である経済、社会、環境が不可分に結びついているのは仕事の場においてであるから、グローバル化が進む中で、持続可能な発展のために必要になってくる計画を仕事に根づいたものとして『ディーセント・ワーク』(働きがいのある人間らしい仕事)を実現する」ことになりました。そして第96回総会で、上述の三要素の「持続可能性の間の強力な相乗効果をまだ構築するようになっていない」として、広義 の労働者をはじめとするステークホルダーが「個人消費」を刺激する「ディーセント・ワーク」の実現によって雇用創出だけでない良質な仕事創出を目標にコンプライアンスを超えた取り組みで企業を動かして企業の自発的なイニシアティブを引き出す法制化をめざす世界各国の国民共同を進める高次元の行動を労働組合が組織することを求められるようになっています。
いまこそCSRの可能性を現実性に転化させることが重要な課題になっているのではないでしょうか。 (慶應義塾大学名誉教授・桜美林大学名誉教授)
労働総研ニュース No.237 2009年12月