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現代労働組合論・賃金論、現代社会論、労働社会学、女性労働論。最近は、若者の非正規雇用、格差問題を重視。

労働組合「自己改革」期における出版労連の先駆性


T.労働運動「自己改革」の議論

  ◇出版労連の組織改革は、労働運動「自己改革」の時期になされた。
  ◇「業種別職種別ユニオン運動」研究会は「自己革新」の波の退潮のなかで再登場した。

 1.『講座 労働組合運動の理論』(全7巻)……分岐 (大月書店刊、1969年)

  

 (1)批判→労働組合組織論の提起
  ◇資本蓄積→労働組合の発展の条件:@社会的貧困、A労働者の数の増大
       ―→ 「労働者をいかに思想的に強化するか」
  ◇「労働者の組織化の形態の問題」や「企業別組織の問題について、十分に考慮しない傾向」

 (2)企業別組合で「あるべき論」と反論
  ◇宮本顕治「労働組合」は「私どもはある職場、ここでは一組合であるべきである」((宮本顕治「革新エネルギーと革新勢力の新しい構築の展望」『前衛』1980年5月号より)
  ◇戸木田嘉久「企業別組合」、「それは組織形態上は資本と賃労働に対峠する直接的な場を基礎にした、『一企業・一組合』の組織原則にかなった組織」
   「日本における『企業別組合』の評価と展望」、『巨大企業における労働組合』、大月書店、(1976年)
   ★一組合で「あるべき論」 →企業別組合擁護 →個人加盟組織の否定論
 

  ◇中林賢二郎「工場のなかに一つの企業別組合をつくるという意味ではなく、一工場の労働者を一つの産業別組合の地域組織に結集する意味であった」(1979年)
 
 ―→中林賢二郎『現代労働組合組織論』(労働旬報社、1979年)

 

 *労働組合組織論のスケッチと提言――運輸・建設部門労組の組織合同を機に、浅見和彦、賃金と社会保障、1183号、1996年8月上旬号

 

 2.『日本の労働組合運動』(全7巻) (大月書店、1985年)

  第5巻の課題と構成(中林賢二郎)
  「企業別組合」と現代労働組合運動の組織的課題 (中林賢二郎)

 

  ◇「一般労働組合」方式の提起と実践
   ・1973年「建設一般」、1978年「運輸一般」、1978年「化学一般」
       運輸一般一関西生コン支部
   ・イギリス運輸一般の紹介文献(中林賢二郎)
  ◇業種別職種別ユニオンの提唱
   「企業横断的組合運動の発展と業種別、職種別団結の今日的意義」(加藤佑治)
  (「未組織労働者の組織化は戦略的課題」木下武男/三瀬勝司
    第5巻「労働組合組織論」

 3.『労働問題実践シリーズ 1から8巻』(大月書店、1990年)「自己改革」の事例研究:頂点

 

 (1)民間大企業における少数派運動
  『労働問題実践シリーズ6 組合運動の新展開』(大月書店、1990年)
  ◇「4組合分裂・組織破壊とインフォーマル組織」
    〔事例1〕インフォーマル組織の攻撃
         雪印食品のばあい(「インフォーマル組織の過去・未来」、現代労働組合研究会のページ
 
  ◇「5 民間大企業における労働者支配への挑戦」
      〔事例1〕日本鋼管鶴見造船「希望の会」/〔事例2〕地銀連と全銀連絡会/〔事例 3〕全造船機械・三菱重工支部

 (2)職能ユニオンの運動

 

   『労働問題実践シリーズ1 就職・転職・失職』(大月書店、1990年)

    ◇「10 専門的技能労働者の雇用」
       〔事例1〕出版産業での取り組み
       〔事例2〕業界にも影響を与える観光労連の取り組み

 

   『労働問題実践シリーズ5 労働組合を創る』(大月書店、1990年)
    ◇「3 産業別・職能別組織化のめざましい発展」
      〔事例1〕プロ野球労組 /〔事例2〕音楽家ユニオン /〔事例3〕東京土建
      〔事例1〕出版労連 / 〔事例2〕電算機関連労働組合協議会(電算労)

 4.労働運動「自己改革」の運動家

 (1)改革の運動家(そして改革の研究者)
    ◇小川善作(元全造船機械調査部長)→「第一組合主義者」
     「いずれ職場の多数派になるといっても、それは百年河清をまつに等しい」
    「造船産業における少数派運動」、造船問題研究家・小川善作、『労働法律旬報』(1186)、1988―2―25。
     (1970年石川島播磨 7500 vs 2900 → 30)

    ◇石垣辰男(元電機労連調査部長)→「産業別活動家集団論」
     「栴檀は双葉より香し」
    「わが国労働組合の組織問題」、『現代の労働と生活V 労働組合の民主的変革』、深井龍雄(黒川俊雄編、1985年3月、労働旬報社)
      
    ◇佐藤一晴[「佐藤一晴遺稿集」のページ ](元日本音楽家ユニオン事務局長)→「職能ユニオン論」
     「法律と役人と警察がいて労働者の利益が守れるならば、この世に労働組合は要らない。」
    「職能ユニオンの可能性――開かれた労働市場と「企業社会」の乗り超え」、佐藤一晴、初出:「賃金と社会保障」(労働旬報社、1996年11月上旬号)。

    職能的結集を見直しつつ――私たちの組織的課題《現代労働組合における組織的課題》、「労働法律旬報」、旬報社、1185号、1988年2月10日号。

    「音楽家ユニオンの供給事業」『労働法律旬報』1985年2月下旬号
 
(2)改革の波の退潮(1990年代−2000年代)
     ◇関西生コン支部の分裂・脱退(1983年)
     ◇ナショナル・センターの発足(1989年)

『格差社会にいどむユニオン―21世紀労働運動原論』(木下 武男著、花伝社、2007年9月)

 
 


U.出版労連の「自己改革」



 1.個人加盟組織の新設
   ◇「企業別組合」肯定論/「であるべき」論が支配的な時代状況
   ◇労働者類型にもとづいた組織形態論
 (1)フリー労働者
      *フリー編集者、フリーライター、カメラマン、デザイナー、スタイリスト、社外校正者
   ◇反合理化闘争の転換:1980年代後半
      ・企業内への「不正規雇用の導入」→「導入は許さない」、「社員化する」。「労働条件の向上」
      ・「フリーやプロダクションの労働者」への対応 → 企業別組合
   ◇1976年‥東京出版合同労組(中小零細企業の出版社)…企業別組合の連合体
     1987年:その一分会としてユニオン・出版ネットワーク(出版ネッツ)
   ◇個人加盟の規約改正
      「組合は原則として」、「事業所ごとに組織された職場組織および労働者で構成し、出版労連に加盟する」。「組合の加盟および脱退は原則として職場組織ごとに行う」
 (2)小零細版元労働者
      結成当時の出版ネッツ:フリーが50人、企業籍のある者が30人
      「小・零細版元労働者を組織対象として、企業横断的に企業の外に個人加盟の組織をつくる」。
   ◇職場単位の「班」‥・企業に組合権限をもたせない
     ・「合同労組の企業分会とも異なる」→企業「班」
     ・この班での行動ではなく、あくまでも地域単位・業種単位・職能単位の活動が中心
 (3)組合機能
     @労働者供給事業(1988年)
      ネッツ加盟→「スタッフ・ネッツ」(供給事業)
     A労働者協同組合(1987年)
     B出版技術講座(1980年、本部)
 2.内部改革論としての「受け皿」論
 (1)二本立て組織論
   「個人加盟組織を軽視することは未組織労働者の組織化にとっても、労働組合の革新にとっても致命的な誤り」
    @「個人加盟組織の位置づけをたんに組織化の『受け皿』にとどめず」
    A「企業別組合と個人加盟組織の二本立てを組織構造にするまで高める必要」(「シリーズ5」)
      ―→「一般組合員に企業別組合の限界性と個人加盟組織の優位性を」つかみとれるよう。
 (2)三段階論(個人加盟の単一組合)
    @未組織労働者の「受け皿」
    A二本立て組織
    B個人加盟組織への合流
 3.リソースの投入
    本部役員の個人加盟組織への加入と組合費の投入 ―→ 各分野へ波及
 4.典型としての波及効果
    企業別組合が「みずから自己改革をしている過程」一「出版労連の事例はその参考になると」
    ◇フリーの新聞記者、カメラマン
    ◇テレビのプロダクションの労働者

2017.11.12
以下のサイトでも議論されている。

◆kouichi31717さんの「憲法とたたかいのブログトップ」のメモより
宮前忠夫著「企業別組合は日本の『トロイの木馬』」の紹介と筆者コメント
http://blog.livedoor.jp/kouichi31717/archives/cat_179041.html
宮前忠夫著、本の泉社、2017年05月

 
  
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労働総研・労働運動部会(2017年6月)で報告した読書感想です。企業別組合克服論についてたいへん独創的・刺激的な提案がされており、とくに国際的な視点について傾聴すべき提起がふくまれています。しかし、それを具体化した日本での克服方向については、一面的な主張が多々ふくまれています。それらをあえて指摘させていただきました。
筆者の見解に異論のある方もいらっしゃると思いますので、このブログで反論その他を掲載いたしますので、投稿していただければ幸いです。投稿欄から御連絡下さい。 

宮前忠夫著「企業別組合は日本の『トロイの木馬』」読書メモ、憲法とたたかいのブログトップ、2017年08月29日21:54



◆hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)、
宮前忠夫『企業別組合は日本の「トロイの木馬」』、2017年4月29日 (土)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-732d.html



 
 
▼参考・「浅見和彦のページ」
 
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/index.htm
 W 運輸・一般労組(TGWU)の運動とその歴史


▽運輸・一般労組(TGWU)の運動とその歴史(論文)
 「運輸・一般労組(TGWU)の組合改革・再論――その思想と組織論の含意」(専修経済学論集 39[1]、 1―65、 2004―07)  
 「運輸・一般労働者組合(TGWU)の組織改革――1960年代後半以降の展開とその歴史的性格」(専修経済学論集 27[1]、 p91-132、 1992―10)
 「運輸・一般労働者組合の源流と成立――合同過程と組織論を中心に―下― 」(労働組合組織論の再検討―続―<特集> 大原社会問題研究所雑誌 (348)、 p18―33、 1987―11
 「運輸・一般労働者組合の源流と成立――合同過程と組織論を中心に―上― 」(労働組合組織論の再検討<特集>、大原社会問題研究所雑誌(347)、 p22―41、 1987―10



 木下武男の「主な労働問題・労働組合論」
   (『格差社会にいどむユニオン――21世紀労働運動原論』 より


1990年、編集・執筆『労働問題実践シリーズ5 労働組合を創る』大月書店
1990年、編集・執筆『労働問題実践シリーズ6 組合運動の新展開』大月書店
1992年、「産業別全国組織の分裂・再編と民間『連合』への道のり」『違合時代》の労働運動−再編の道程と新展開』総合労働研究所
1992年、「対抗的ナショナ〜・センターの形成にともなう産業別全国組織の分裂と再編」、同前
1993年、「企業社会と労働組合」『労働運動と企業社会』大月書店
1994年、『企業社会の克服と労働運動』けんり春闘
1996年、「労働組合運動」、渡辺治編『現代日本社会論』労働旬報社
1997年、「女性運動」同前
1997年、「日本的労使関係の現段階と年功賃金」『講座現代日本3日本社会の再編と矛盾』、大月書店
1997年、「日本型福祉国家戦略と社会労働運動」『講座現代日本4日本社会の対抗と構想』、大月書店
1999年、『日本人の賃金』平凡社新書
2002年、「日本的雇用の転換と若者の大失業」『揺らぐ(学校から仕事へ)』青木書店
2003年、「グローバリゼーションと現代日本社会の地殻変動」『時代転換の諸断層』日本経済評論社
2003年、「働き方・暮らし方を変える、東京を変える」『どんな東京をつくるか』萌文社
2004年、「企業主義的統合と労働運動」『日本の時代史27高度成長と企業社会』吉川弘文館
2004年、「日本型雇用・年功賃金の解体過程」『日本の時代史28 岐路に立つ日本』吉川弘文館
2004年、「日本の男女賃金差別と同一価値労働同一賃金原則」(『ジェンダー白書2 女性と労働』明石書店
2005年、「ワーキング・プアの増大と『新しい労働運動』の提起」『ポリティーク10号』
2005年、「戦後労働運動の思想――企業別労働組合論をめぐって」『唯物論研究年誌』第10号、青木書店


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〒180-0004
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メール:kinoshitatakeoアットnifty.com(アットを@に)

労働社会学者(元昭和女子大教授)。
 1944年福岡県生まれ。10歳の時に東京に移り住む。1964年に東京理科大学工学部に入学、さらに法政大学社会学部を卒業し、75年法政大学大学院社会学専攻修士課程修了。その後、労働科学研究所嘱託研究員や法政大学などの大学非常勤講師をつとめる。
 1999年に、鹿児島国際大学福祉社会学部教授、2003年に昭和女子大学人間社会学部教授に。大学の担当科目は労働社会学、現代社会論などを歴任、専門は日本型雇用や若者の貧困と過酷労働の分析、女性労働論、労働組合論など。
 著書は『日本人の賃金』(平凡社新書、1999年)、『格差社会にいどむユニオン―21世紀労働運動原論』(花伝社、2007年)、『若者の逆襲』(旬報社、2012年)、共著は『なぜ富と貧困は広がるのか―格差社会を変えるチカラをつけよう』(旬報社、2008年)など多数。












編集人:飯島信吾
ブログ:ある編集者のブログ
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UP 2014年02月15日
更新 2017年11月10日
更新 2017年11月12日
更新 2017年11月25日
更新 2018年02月25日