木下武男 profile・主な著書・文献一覧他
◇主な著書・文献一覧 |
著書の「単行本」については書名をカギ括弧で、担当論文名を括弧で示した。
著書・学術論文等の名称 |
単著・ 共著 |
発行の年月 |
発行所・発表雑誌・発表学会等 |
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1.「産業構造の転換と『第三次産業の労働問題』」 |
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1979年12月 |
『経済』 1979年9月号 149頁~161頁 |
石油危機移行の経済変動のなかで産業構造転換と過剰労働力の吸収先として「第三次産業」が注目されたが、その労働力構成や就業実態について分析した。 |
2.「急成長する『ビルメン』業の実態―サービス経済化のなかで問われるものー」 |
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1980年8月 |
『エコノミスト』 1980年8月26日号 79頁~83頁 |
ビルメンテナンス業の発展のなかで形成された下請構造および高齢者雇用に依存する就業実態の陰の部分と、コンピューター制御による総合ビル管理など近代的産業として成長している光の部分を指摘した。 |
3.『現代の労働政策』 「労働者派遣事業の制度化」 「婦人労働政策の展開と特質」, |
共著 |
1981年10月 |
大月書店 286頁 |
(全体概要)日本の労働政策に対して労働力政策を中心に体系的に分析した。 (担当部分概要)123頁~133頁「労働者派遣事業の制度化」、1985年に制度化される労働者派遣事業に関する政策動向を分析した。 175頁~189頁「婦人労働政策の展開と特質」,戦後の女性政策に関して保護政策を中心に分析した。 共著者:田沼肇、江口英一、木下武男外7名 |
4.『サービス産業の労働問題』 「『サービス経済化』の進展と労働政策の新たな対応」 「旅行業における就業構造ー労働力の構成と職業意識」 「ビルメンテナンス業における就業構造ー産業の発展と労働実態」 |
共著 |
1982年3月 |
労働科学研究所 全286頁 |
(全体概要)就業者が増大したにもかかわらず、労働問題の解明が立ち後れていたサービス産業分野を対象に労働科学研究所が行った3年間の総合的な調査研究を研究書としてまとめた書である。 (担当部分概要) 29頁~58頁、第Ⅰ部第2章「『サービス経済化』の進展と労働政策の新たな対応」、サービス産業への産業構造転換にともなう労働力流動化の政策を分析した。 211頁~234頁、第Ⅱ部第3章「旅行業における就業構造―労働力の構成と職業意識」、急成長してきた旅行業における労働力の構成と、添乗労働者のキャリアや仕事意識を分析した。 235頁~255頁、第Ⅱ部第4章「ビルメンテナンス業における就業構造―産業の発展と労働実態」、新しい産業であるビルメンテナンス業においても下請構造や安価受注・過当競争のメカニズムが形成されていることを解明した。 共著者:鷲谷徹、木下武男、高橋祐吉外3名 |
5.『電機産業における労働組合』 「電機産業における雇用調整の展開と雇用構造の変動] |
共著 | 1984年7月 |
大月書店 全278頁 |
(全体概要)技術革新の先端をきる電機産業と、民間のビック・ユニオンである電機労連を多面的に分析した。 (担当部分概要)33頁~65頁、第2章「電機産業における雇用調整の展開と雇用構造の変動」、電機産業における雇用調整の実態を分析し、内部労働力の流動化が進行していることを指摘した。 共著者:早川征一郎、小越洋之助、相田利雄外5名 |
6日本の労働組合運動
5 労働組合組織論』 「未組織労働者の組織化は戦略的課題」 |
共著 | 1985年6月 |
大月書店 全318頁 |
(全体概要)1970年代後半以降、日本の労働組合運動が停滞する中で、前進をはかるためにシリーズとして多面的な検討をおこなった。 (担当部分概要)113頁~148頁、4「未組織労働者の組織化は戦略的課題」、民間大企業には、労働者支配を受容する仕組みがあることを指摘し、中小零細企業の労働者の組織化は、企業社会を超克するために戦略的に重要であることを指摘した。なお、担当論文は共著になっているが、全文を筆者が書いた。共著者:中林賢二郎、加藤佑治他8名 |
7.『講座 現代・女の一生
6 ―仕事と職場』 |
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1985年8月 |
岩波書店 全372頁 |
(全体概要)女性が労働力の担い手として登場してきているなかで職業人生におけるそれぞれの課題について体系的に論述したものである。 (担当部分概要)247頁~284頁「労働組合とは何か」、日本の企業内労働組合が本来の姿なのではなく、友愛と連帯を原理とする個人加盟の欧米のユニオンが労働組合の原点であることを示した。 共著者:岸本重陳、落合恵子、寿岳章子、木下武男外9名 |
8.『コンピューター革命と現代社会
2 経済・産業』 「流通システム」 |
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1986年年1月 |
大月書店 全260頁 |
(全体概要)コンピューター時代が開かれつつあるときに、経済・産業の分野におけるコンピューターの影響を集団的な討論をへてまとめた。 (担当部分概要)213頁~236頁、[現状の研究2]「流通システム」、コンピューター技術は情報ネットワークの形成を生み出すことになり、それは流通機構の効率化と市場の組織化のツールになることを指摘した。 共著者:井上照幸、貫貴久、久保庭真章、木下武男外5名 |
9.「日本における職能的労働組合の可能性」 |
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1987年10月 |
『大原社会問題研究所雑誌』 347号 175頁~189頁 |
社会政策学会における労働組合研究が形態論から機能論へ転換し、その後、組織形態論は重視されてこなかったが、欧米型に近い個人加盟組織の4つの事例研究にもとづいて現段階における形態論の意義を強調した。 |
10.「経済のサービス化と就業形態の多様化」 |
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1989年6月 |
『賃金と社会保障』10012号 6頁~13頁 |
サービス産業がもっている需要の波動性という特質は、雇用の柔軟性を求めることになり、それがパートタイマーの活用を大規模に進め、女性労働者の就業形態の多様化を促すことになっていることを指摘した。 |
11.「戦後初期組織化過程における運動と諸潮流」(特集:建設労働組合史論) |
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1989年10月 |
『大原社会問題研究所雑誌』 371号 3頁~15頁 |
建設産業の労働組合の歴史をまとめた特集である。執筆とともに特集全体の企画を担当した。戦後の運動の高揚と後退のなかで教訓をつかむことができるかどうかというユニオン・リーダーの資質が、その後の発展を左右することを指摘した。 |
12.「建設労働組合の80年代『飛躍』の要因」(特集:建設労働組合史論) |
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同上月 |
同上 52頁~66頁 |
1980年代をつうじて建設産業の組合員が東京だけで9万人を超えるという現象を分析し、それが土建国保の確立を基盤にしながら、協定賃金運動や仕事確保、住宅デーなど多彩な分野へ運動を広げていったことにあることを指摘した。 |
13.「日本的競争秩序と学歴競争社会」 |
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1990年7月 |
『教育』 524号 78頁~85頁 |
加熱した受験競争からくる社会問題が多発するなかで、その原因である学歴競争社会は、日本型雇用の定期一括採用方式における評価が潜在能力評価であり、それが実質的には大学の格付けを物差しにしていることから、形成されていることを指摘し、それが日本独特の学校歴をめぐる競争構造を生み出していることを強調した。 |
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14.『労働問題実践シリーズ
5 労働組合を創る』 「Ⅰ 労働組合を創る」 「Ⅱ-3 産業別・職能別組織化のめざましい発展」 「Ⅱ-4 企業別労働組合連合体(単産)における個人加盟組織」 |
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1990年9月 |
大月書店 全217頁 |
(全体概要)連合・全労連が結成された中で、労資癒着の運動でもこれまでの総評運動でもない、新しい方向性が必要とされた。そのために進んだ運動経験を集め、分析することを目的にした。 (担当部分概要)12頁~48頁「Ⅰ 労働組合を創る」 は「1
労働者の組織化と企業別労働組合」、「2 今日の日本にとって組織化は特別に重要である」、「3 組織化をすすめるために」からなっている。 75頁~105頁「Ⅱ-3 産業別・職能別組織化のめざましい発展」は、1.プロ野球労組、2.音楽家ユニオン、3.東京土建、4.職能的労働者と労働組合、5.労働者供給事業の労働組合、を紹介している。 106頁~115頁「Ⅱ-4 企業別労働組合連合体(単産)における個人加盟組織」、単産のなかに組織化の「受け皿」として個人加盟組織がつくられていることを出版労連や電算機関連労働組合協議会の事例から紹介した。 共著者:浅見和彦、手嶋繁一 |
15.『労働問題実践シリーズ
6 組合運動の新展開』 「Ⅰ 組合運動の新展開」 「Ⅱ-4 組合分裂・組合破壊とインフォーマル組織」 「Ⅱ-5 民間大企業における労働者支配への挑戦」 |
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1990年12月 |
大月書店 全217頁 |
(全体概要)春闘に傾斜してきたこれまでの運動を改革するための理論と経験を示すことを目的とした。 (担当部分概要)12頁~59頁「Ⅰ 組合運動の新展開」は「1 労働組合の機能」、「2 労働組合の機能領域」、「3 労働組合運動の新展開―その一・企業主義的労働組合運動の克服」、「4 労働組合運動の新展開―その二・労働組合機能の改革」から構成されている。 121頁~137頁「Ⅱ-4 組合分裂・組合破壊とインフォーマル組織」、雪印食品などの組織の実態を分析し、それとの有効な闘い方を検討した。 138頁~164頁「Ⅱ-5 民間大企業における労働者支配への挑戦」、日本鋼管や、地銀連・全銀連絡会、三菱重工などの民間大企業の少数派労働運動の経験を分析し、今後の方向を検討した。 共著者:浅見和彦、手嶋繁一、伊藤欽次 |
16.『コープ・ワーカーズ考』 「生協の労働改革と地域社会」 |
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1991年12月 |
労働旬報社 全257頁 |
(全体概要)協同労働研究会が行った生協の協同労働に関する共同研究をまとめたものである。 (担当部分概要)209頁~222頁、第6章「生協の労働改革と地域社会」、生協における疎外された労働を、レイドロー報告の経営参加の視点から解明し、生協労働のあり方を探った。 共著者:白井厚、岩田正美、木下武男外4名 |
17.『《連合時代》の労働運動』 「産業別全国組織の分裂・再編と民間『連合』への道のり」 「対抗的ナショナル・センターの形成にともなう産業別全国組織の分裂と再編」 |
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1992年3月 |
総合労働研究所 全355頁 |
(全体概要)総評の解散と連合の結成という戦後労働史の転換点で、その解明のため大原社会問題研究所が行った共同研究の成果である。 (担当部分概要)3頁~41頁、第1章「産業別全国組織の分裂・再編と民間『連合』への道のり」、連合の結成は、そこにいたる民間大企業における企業内労使関係の変化が原動力であったことを指摘した。 173頁~202頁、第4章「対抗的ナショナル・センターの形成にともなう産業別全国組織の分裂と再編」、連合に対抗的な潮流が分岐していく過程を分析した。 共著者:五十嵐仁、木下武男、篠田徹外5名 |
18.『労働運動と企業社会』 「企業社会と労働組合」 |
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1993年11月 |
大月書店 全238頁 |
(全体概要)日本を企業中心社会としてとらえる企業社会論が登場しているなかで、企業社会を社会的な規制との関連で解明することを目指した。 (担当部分概要)10頁~80頁「企業社会と労働組合」、法政大学で講義してきた「労働組合論」の後半部分をまとめたものである。企業社会論の各潮流を整理しつつ、欧米型ユニオンの不在と企業社会との関連という独自の視点を提起した。 共著者:田沼肇、丸谷肇、斉藤力外2名。 |
19.「協同組合における教育・研修のあり方」 |
共著 |
1994年5月 |
『農業・農協問題研究』第13号 92頁~148頁 |
農業・農協研究所が農協における従業員の教育・研修についての調査報告書である。静岡県、愛媛県、福島県における農協を調査した。共同研究のなかで、Ⅱ-4「農協における労務・研修政策と労働組合の対応」を分担執筆した。 共著者:三国英実、田中秀樹、平田啓、木下武男。 |
20.「労働組合運動と男女『差別』賃金問題―コンパラブルワースと賃金論」 |
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1994年6月 |
『女性労働問題研究』 26号 17頁~23頁 |
1990年代から同一価値労働同一賃金原則が、日本でも知られるようになったが、年功賃金を実質的に擁護する立場から職務評価を伴う同一価値労働同一賃金原則に反対する労働組合の潮流に対して批判を行った。 |
21.「年功賃金と企業社会―企業社会批判の職能視点とジェンダー視点」 |
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1994年9月 |
『季刊
思想と現代―現代日本の分岐と対立』38号 86頁~99頁 |
企業中心社会は年功賃金の原理と大きく関わっており、また年功賃金は性差別性を内包しており、仕事によって処遇される職能の視点と、ジェンダーの視点で年功賃金を分析する必要性を強調した。 |
22.『建設産業振興計画―住み続けられるまちづくりをめざして』 「地域建設産業確立の現状と今後の課題」 |
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1996年4月 |
東京土建一般労働組合墨田支部 全91頁 |
(全体概要)東京都墨田区の産業振興計画づくり指導助成事業の援助を受けて、墨田区における住宅産業の地域特性や住宅事情、住宅技術者の役割、住宅政策などを調査し、研究した。 (担当部分概要)77頁~90頁、4「地域建設産業確立の現状と今後の課題」を執筆した。労働組合も住民の合意と自治体との信頼関係を強めながら、地域を基盤とする建設産業の育成を図ることの必要性を提起した。 共著者:松丸和夫、鈴木浩、椎名恒、木下武男。 |
23.『現代日本社会論』 「労働組合運動」 「女性・女性の運動」 |
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1996年4月 |
労働旬報社 全675頁 |
(全体概要)戦後50年目の日本社会を多角的かつ歴史的に分析した。 (担当部分概要)548頁~569頁、25「労働組合運動」戦後の運動の衰退を企業社会の形成と結びつけて分析した。 592頁~615頁、27「女性・女性の運動」、1975年に開かれた国連の第1回世界女性会議から、日本の女性運動も質的な変化をしてきていることを検討した。 共著者:渡辺治、金子勝、木下武男、奥村宏外17名。 |
24.『日本型企業社会と女性』 「企業社会を超克する戦略と女性の位置」 |
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1997年3月 |
青木書店 全218頁 |
(全体概要)基礎経済科学研究所が、これまでの日本社会分析は女性や家族の地位が正当になされていないという問題意識にもとづいて編んだものである。 (担当部分概要)187頁~206頁「企業社会を超克する戦略と女性の位置」、企業社会と性別役割分業とが、男性の企業における働き方と家庭における男女の関係性という形で深く結びついていることを指摘した。 共著者:中川スミ、熊沢誠外6名。 |
25.『講座 現代日本
3 日本社会の再編成と矛盾』 「日本的労使関係の現段階と年功賃金」、 |
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1997年3月 |
大月書店 全334頁 |
(全体概要)日本社会の大きな変動が進行するなかで、労働、生活、教育、階層など多角的に変化の現状を分析した。 (担当部分概要)126頁~219頁、第Ⅱ部「日本的労使関係の現段階と年功賃金」、労働市場の流動化の現段階を分析し、賃金について年功賃金の形成・確立を歴史的に解明し、年功賃金の類型を示した。 共著者:中西新太郎、鷲谷徹、乾彰夫。 |
26.『WOMEN AND MEN PAY EQUITY 1997 商社における職務の分析とペイ・エクイティ』 |
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1997年3月 |
ペイ・エクイティ研究会全111頁 |
(全体概要)1996年度の東京女性財団研究活動助成金にもとづいて研究者4名と商社に働く女性12名との共同研究を行った。同一価値労働同一賃金原則が注目されるなかで、日本におけるその実践として商社をフィールドにして調査した。女性の賃金差別を是正する目的で職務分析・職務評価を行った日本で始めての調査・研究である。 (共同研究にため担当部分の抽出は不可能) 共著者:森ます美、居城舜子、高島道枝。 |
27.『講座 現代日本4
日本社会の対抗と構想』 「日本型新福祉国家戦略と社会労働運動」 |
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1997年7月 |
大月書店 全510頁 |
(全体概要)日本独特の国家と社会の構造がグローバル化のなかで変容を余儀なくされてくるなかで、戦略的にどのような可能性があるのかを分析し、提起した。 (担当部分概要)116頁~161頁、第2部第Ⅱ章「日本型新福祉国家戦略と社会労働運動」、日本的なシステムが崩壊しつつある時に、年功的な社会秩序を改編しヨーロッパ型福祉国家の方向を検討すべきことを提起した。 共著者:渡辺治、中西新太郎、後藤道夫外4名 |
28.「安心して働き続ける権利・宣言―労働の規制緩和と雇用不安を生きのびるために」 |
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1998年1月 |
『世界』 1998年1月号 43頁~61頁 |
企業倒産や失業悪化が勢いを増し、また労働分野における規制緩和が進むなかで、労働のルールの確立を緊急に提言したものである。共同執筆であるため分担部分は抽出不可能。大沢真理、金子勝、、熊沢誠 中野麻美外3名。 |
29.「ペイ・エクイティと日本の賃金体系―商社における男女賃金差別の実態―」 |
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1998年1月 |
『女性労働研究』 33号 46頁~51頁 |
「商社における職務の分析とペイ・エクイティ」研究会の調査から、職務にもとづいて職務評価した評価点と実際の賃金とが大きく離れていることを分析し、その根本的な原因は年功賃金にあることを指摘した。 |
30.「『現代の労働』と労働者協同組合法の法制化―社会的有用労働と協同労働」 |
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1998年1月 |
『仕事の発見』 51号 61頁~64頁 |
労働者協同組合法の制定の必要性を、フォーディズムによる指示され細分化された「現代の労働」から「協同労働」に転換することの重要性から強調した。 |
31.「『賃金制度の転換』なるものと賃金の考え方」 |
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1998年4月~1999年4月 |
『賃金と社会保障』 1224号(4頁~19頁)、1226号(14頁~28頁)、1229号(8頁~25頁)、1233・1234号(9頁~25頁)、1236号(14頁~35頁)、1241・1242号(103頁~120頁)各号連載 |
1990年代後半からの新しい賃金制度の事例を分析し、これまでの年功賃金と日本的能力主義評価が全面的に転換するという結論に達し、それを詳細に展開した。この事態を理解するためには、仕事給であるアメリカの職務給とヨーロッパの職種別賃金の把握が必要であるために、年功賃金と構造的に対比しつつそれらを紹介し、また年功賃金のもっている問題点を指摘した。 |
32.『建設現場に労働協約を』 「労働協約をめざす建設労働組合の課題」 「欧米諸国の建設労働運動と労働協約 二、フランス」 |
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1998年9月 |
大月書店 全195頁 |
(全体概要)日本の建設産業が欧米先進国と比べて特有の重層的下請構造が形成され、また労働協約の整備など労働面の遅れがあることを海外の調査を含めて建設労働協約研究会が調査・研究したものである。 (担当部分概要)112頁~119、第4章「欧米諸国の建設労働運動と労働協約 二、フランス」、調査に行ったフランスにおける労働団体と経営者団体、政府からの聴き取りをまとめ、労働協約の機能を分析した。 167頁~195頁、6章「労働協約をめざす建設労働組合の課題」、ヨーロッパの建設産業の構造と日本の重層的下請構造とを比較し、産業別労働協約の意味を検討した。 共著者:椎名恒、浅見和彦外3名。 |
33.『労働ビッグバンと女の仕事・賃金』 「『労働運動フェミニズム』と女性の連帯組織」 |
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1998年10月 |
青木書店 全246頁 |
(全体概要)日本における賃金人事制度が大きく変わりつつあるなかで、女性の雇用・賃金の差別の構造を明らかにした。編者として企画・編集にたずさわった。 (担当部分概要)206頁~226頁、第2部における「『労働運動フェミニズム』と女性の連帯組織」の部分、日本の労働組合が女性の課題を優先的に取り組むことができない体質を分析しつつ、アメリカの女性組織を紹介し、日本における可能性を展望した。 共著者:中野麻美、森ます美、林弘子外12名 |
34.『日本20世紀館』 「企業社会の裏表」 「労働市場の変貌とキャリアウーマン」 |
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1999年2月 |
小学館、全1103頁 |
(全体概要)20世紀の日本の歩みを多面的に検証している。 (担当部分概要)832頁~833頁「働き始めた女性たち」、70年代半ばの専業主婦比率の高まりとその後のパート化への動向を示した。 886頁~887頁「労働市場の変貌とキャリアウーマン」、男女雇用機会均等法によって雇用労働の女性化が進み、継続就業指向が高まっていることを明らかにした。 888頁~889頁「企業社会の裏表」、日本経済の発展・企業の成長と家族や働き方の困難とは裏表の関係にあることを示した。 共著者:五十嵐仁、金子勝、小林英夫外外102名 |
35.『大卒女性のキャリアパターンと就業環境』 |
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1999年3月 |
財団法人東京女性財団 全163頁 |
(全体概要)東京女性財団の委託調査であり、男女雇用機会均等法以降に就職した女性就にとっての業継続の促進要因と阻害要因を調査・分析した。アンケート調査、女性労働者・企業へのヒアリング調査を実施した。 (担当部分概要)5頁~7頁第Ⅰ部第2章、8頁~25頁第Ⅱ部、91頁~120頁第Ⅲ部第4章。主に、D型「退職・無職女性」のキャリアパターンと就業環境について執筆。 共著者:森ます美、遠藤公嗣。 |
36.『日本人の賃金』 |
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1999年8月 |
平凡社新書 全208頁 |
1990年代後半から日本の年功制・能力主義の人事制度に代わる成果主義の制度が登場してきた。その背景にあるグローバル経済化や情報技術革新にふれつつ、日本型の成果主義とこれまでの年功賃金の双方を批判し、仕事基準賃金を問題提起した。 |
37.「『賃金の考え方』について掘り下げる」 |
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2000年1月 |
『賃金と社会保障』 1265・1266合併号 70頁~87頁 |
『日本人の賃金』に対する評価・批判に応えつつ、仕事基準の賃金を構想することが低賃金の是正にとって必要であることを強調した。 |
38.「大卒女性のキャリアパターンと就業環境」 |
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2000年4月 |
『社会政策学会誌第3号・通巻第44集』、155~175頁 |
第98回社会政策学会で「大卒女性のキャリアパターンと就業環境」と題する分科会を設定し、報告した。この学会報告を3名の共同論文としてまとめた。3節を分担。共著者は遠藤公嗣、森ます美。 |
39.「労働法制の再編と人事制度の新展開」 |
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2000年7月 |
『東京研究』4号、127頁~145頁 |
人事制度の改編は専門性や役割の重視をともなっているが、その仕事基準への傾斜は、仕事を基準にする横断的労働市場と企業内賃金との結合を生みだす。労働法制の再編をそれとの関連で検討した。 |
40.「ジョブレス社会・日本の悲劇と課題―『パート労働物差し研』報告をどう読むか」 |
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2000年10月 |
『賃金と社会保障』1283号、4頁~17頁 |
フルタイマーとパートタイマーとの均等処遇が国際的な動向になってきているなかで、均等を測る物差しを検討する雇用管理研究は明快な方向を出せなかったが、それは職務という概念のない日本社会の土壌にも規定されていることを指摘した。 |
41.「賃金をめぐる競争構造の変化」 |
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2000年12月 |
『労務理論学会』 第10号 31頁~38頁 |
成果主義賃金の特徴を指摘し、その導入は、厳密ではないにせよ、仕事を重視した処遇になり、その結果、企業内の賃金と横断的な労働市場の賃金とが仕事を基準にして架橋されることになり、これまでの企業内の競争から企業外を巻き込んだ競争構造に変化していくことを強調した。 |
42.「『欧米型発展モデル』によるスペシャリスト養成の視点を」 |
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2001年1月 |
『労政時報』3474号、32頁~35頁 |
導入されつつある成果主義賃金はあくまでも日本型であり、欧米型のように仕事を基準にした基本給を確立しつつ、成果主義を上乗せするようなモデルを企業の人事制度として検討すべきであることを提起した。 |
43.「人事制度の現状と展望」 |
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2001年5月 |
『労政時報』3491号、35頁~39頁 |
これまで年功制や能力主義は人事制度の基本であり、微調整はあっても崩れることはないとの見通しが強かったが、この時期になされた2つの調査から、その転換が急速であることが明確になっていることを強調した。 |
44.「米国発リヴィング・ウェジ、英国発最低賃金制、そして日本」 |
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2001年8月 |
『賃金と社会保障』 1303号 34頁~45頁 |
年功賃金制度下で失業者が急増していることは賃金相場が単身者賃金の水準で形成されることになり、大幅な賃金下落が進行していることに指摘し、賃金下落の歯止めとなる欧米の制度を紹介した。 |
45.「専門的福祉労働者の賃金論」 |
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2001年11月 |
『学童福祉研究』2号 110頁~117頁 |
社会的サービスの需要の高まりに応えてサービス提供を増大しなければならないことと、同時に、財政支出を抑制しなければならないことを両立させる政策が展開されているが、賃金下落の歯止めとして、またフェアーな基準として職種別賃金を検討すべきことを提起した。 |
46.「賃金制度の転換と成果主義賃金の問題点」 |
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2001年11月 |
『日本労働社会学会年報』 12号、55頁~72頁 |
賃金制度が資格制度と評価制度の二つを軸に転換していることを指摘し、日本の成果主義の問題点は、アメリカのように競争の棲み分けをした範囲での成果主義ではないこと、職務を基準にした基本給が確立されていないことなどを分析した。 |
47.「日本型雇用・年功賃金の崩壊と新しい賃金運動の構想」 |
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2002年1月 |
『ポリティーク』 3号 56頁~87頁 |
1990年代からの人事制度の転換と、98年以降、明確になった高失業時代への突入という新しい状況のなかで、これまでの日本独特の春闘は対応できなくなった。それに替わる構想として、年功ではない新しい基準の基本給の確立と、国際的な動向である均等処遇の原則、そして最低賃金の規制という3つのテーマを提起した。 |
48.「職能資格制度の『性差別』性―昭和シェル石油賃金差別裁判で証言して-」 |
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2002年1月 |
『女性労働研究』41号 106頁~107頁 |
東京地方裁判所で証人として法廷に立った経験を書いた。鑑定意見書で、ジェンダー・バイアスのかかる評価システムであることを指摘したが、会社側はそれを認めるような発言を法定でおこなった。考課者が性差別的であれば、賃金差別がなされることを明らかにした。 |
49.『どんな東京をつくるか』 「序章 私たちは、どんな時代の東京にいるのか」 「第一章 働き方・暮らし方を変える、東京を変える」 |
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2003年3月 |
萌文社 全238頁 |
(全体概要)今後の東京都政のあり方に焦点を当て、労働や教育、交通、社会福祉、財政の各分野の政策を検討した。 (担当部分概要)11頁~21頁「序章 私たちは、どんな時代の東京にいるのか」、グローバリゼーションの進展の中で持続可能な都市を目指すべきことを強調した。 24頁~50頁「第一章 働き方・暮らし方を変える、東京を変える」、労働分野の政策や運動課題を検討するとともに、エコロジカルでジェンダー平等なリッチ・シンプルライフの暮らし方を提唱した。 共著者:安達智則、児美川孝一郎他4名 |
50.『時代転換の諸断層』 「グローバリゼーションと現代日本社会の地殻変動」 |
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2003年3月 |
日本経済評論社 |
(全体概要)グローバリゼーションの進展によって日本の地域社会が変容している諸側面を分析した。鹿児島国際大学付属地域総合研究所のプロジェクトの2年間の共同研究である。 (担当部分概要)1頁~39頁「グローバリゼーションと現代日本社会の地殻変動」、グローバリゼーションの展開過程を分析し、その日本社会へのインパクトを検討するなかで、新しい視点に立った地域再生の課題について提起した。 共著者:上原慎一、丸谷肇、安藤究外6名 |
51.「昭和シェル石油の職能資格制度と判決の意義」 |
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2004年1月 |
『女性労働研究』45号 41頁~44頁 |
性に中立的に設計されている職能資格制度が、男女別の年齢賃金カーブにおいて、男女が集団として分離している状況を生みだしている。昭和シェル石油の男女賃金差別裁判で鑑定意見書を書いたが、その内容にふれながら、性差別を生みだす仕組みを分析した。 |
52.「『人事・雇用システムの転換と労使関係』へのコメント」 |
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2004年2月 |
『労務理論学会誌第13号』41頁~46頁 |
学会統一論題「人事・雇用システムの転換と労使関係」で報告した2名の報告者に対する、成果主義賃金制度の理解に関する批判的コメントである。 |
53.「日本の男女賃金差別と同一価値労働同一賃金原則」 |
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2004年3月 |
『ジェンダー白書 2 女性と労働』91頁~108頁 |
先進国のなかで類例をみない日本の男女賃金格差は、日本特有の年功賃金の存在にあることを裁判資料などで論じ、その克服は、欧米に広まりつつある同一価値労働同一賃金原則の適用にあると提起した。その原則の適用は年功賃金から仕事給への移行が不可欠であるので困難であるが、裁判の審理やパートと正社員との均等待遇の必要性などから理解が広がっていると指摘した。 |
54.『日本の時代史27―高度成長と企業社会』 「企業主義的統合と労働運動」 |
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2004年8月 |
吉川弘文間 |
(全体概要)1960年から80年代末に至るほぼ30年間は、高度経済成長が本格化すると同時に、日本社会は企業中心社会という欧米とは異なる市民社会が形成された。その歴史を各分野から叙述する書である。 (担当部分概要)127頁~156頁「企業主義的統合と労働運動」、日本の労働運動は高揚と後退の複雑な過程をたどったが、基本的には戦後一貫して衰退の傾向を示している。それは、日本は欧米と全く異なる企業別労働組合のユニオンであることによるが、本論文では、その形成は客観的には日本的労使関係の形成と主体的にはユニオン・リーダーの労働組合観によるものであることを提起した。 共著者:渡辺治、後藤道夫、進藤兵外3名 |
55.「賃金をめぐる今日的焦点―賃金の決定基準を中心にして」 |
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2004年9月 |
『社会政策学会年報12号』24頁~39頁 |
社会政策学会第107回大会(平成15年)の共通論題「社会政策学と賃金問題」で報告した内容を論文にまとめたものである。年功賃金から成果主義賃金へという賃金制度の変化や、賃金水準の下落の動向を検討しつつ、それらをめぐる議論のなかに混乱が見られることを指摘し、賃金の決定基準と上がり方、水準という三つ視角のうちで今日、決定基準が最も重要であることを強調した。 |
56.『日本の時代史28―岐路に立つ日本』 「日本型雇用・年功賃金の解体過程」 |
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2004年9月 |
吉川弘文間 |
(全体概要)1990年前後から後の十数年の「現代」を歴史的視点から分析する書である。戦後つくられた日本的な当たり前の社会が急速に瓦解しつつあることを各分野で検討されている。 (担当部分概要)134頁~161頁「日本型雇用・年功賃金の解体過程」、1990年代は日本型雇用と年功賃金が解体過程に入ったことによって、戦後の労働史のなかで決定的な画期となった。論文では雇用と賃金の面から諸現象を分析し、90年代を「解体過程」と位置づけた。 共著者:木本喜美子、中西新太郎、吉田裕外6名 |
57.「『感情労働』」と職務の専門性の確立―:対人サービス分野における新しい職務評価について」 |
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2005年1月 |
『賃金と社会保障』2005年2月上旬号、4~9頁 |
対人サービス分野で働く仕事で、人の感情を喚起したり、自分の感情を管理する「感情労働」が注目されるようになった。まだ、研究が遅れていた日本でも看護職や介護職などで分析がなされてきた。論文では、これらを紹介しつつ、感情労働を職務評価の視点から研究することを強調した。 |
58.「ワーキング・プアの増大と『新しい労働運動』の提起」 |
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2005年9月 |
『ポリティーク10号』 100~123頁 |
日本型雇用と終身雇用制を前提にして成立していたこれまでの格差社会は、それらの崩壊によって二極化社会に転化した。働いているにもかかわらず貧困な膨大なワーキング・プアーが形成されつつある。その実情を改善する手だてとして、労働運動は、日本特有の企業別組合にとらわれていた企業主義と、政治課題を指令動員で強制していた政治主義の二つを克服し、ヨーロッパのような当たり前の個人加盟ユニオンをつくることが課題であることを強調した。 |
59.「グローバル競争の先兵『シンボリック・アナリスト』」 |
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2006年7月 |
『エコノミスト』7月25日号 37~37頁 |
グローバリゼーションの進展のなかでグローバル競争に企業が打ち勝つ最大の担い手は、高度な専門性を身につけたシンボリック・アナリストである。しかし、日本のようなあまりも過酷な労働環境のもとで、この職種の必要とされる独創性や創造性は育たない。過酷な労働環境の改善は企業の成長力の面からも不可欠であることを強調した。 |
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60.「賃金の考え方と『新しい賃金運動』」 |
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2007年2月 |
『静岡労働総合研究所所報』春季号 |
著書『日本人の賃金』以来の批判に応えつつ、今日の賃金下落の現状を踏まえて、新しい賃金論の考え方を示した。生活給思想から脱し、男女ともに家族の生活が成り立つ生活保障賃金の重要性を指摘した。そして年功賃金を基盤にしたこれまでの賃上げ運動から社会的賃金運動へと視野を広げることを強調した。 |
61.『格差社会にいどむユニオン―21世紀労働運動原論』 |
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2007年9月 |
花伝社 全359頁 |
1990年代以降の労働市場の構造変化と非正規雇用の拡大のなかで若者を中心としてワーキングプアが増大してくるとともに、労働組合の社会的役割が注目されてきている。本書では、企業主義と治主義の偏向を長らくおかしてきた戦後労働運動を否定的に分析し、あるべき方向をヨーロッパ型ユニオンに求め、そこに至る方途を具体的に論じた。 |
62.「ワーキングプアの貧困からの『離陸』」 |
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2008年1月 |
『世界』773号、132頁~138頁 |
今日、急速に拡大しているワーキングプアの生活を改善するためには、国の社会保障・社会政策を向上させていくことと同時に、極端に低い賃金をユニオン運動の面から上昇させていくことが長期的に必要とされることを強調した。 |
63.「派遣労働の変容と若者の過酷」 |
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2008年9月 |
『POSSE』創刊号 23頁~38頁 |
1999年の労働者派遣法の改正による原則自由化と2004年の製造業における派遣の解禁は、たんなる対象業務の拡大だけではなく、派遣労働の質を変えた。日雇い派遣を可能にし、また単純労働・定型業務における派遣の形態は過酷な労働を強いることになった。歴史的な分析を含め、変化の構造を明らかにした。 |
64.「『共同提言』若者が生きられる社会のために」 |
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2008年10月 |
『世界』783号、149頁~178頁 |
急速に広がっている若者の貧困化と雇用不安に対して緊急かつ実現可能な政策を提言した。政策は、労働市場の整備と職業訓練制度の拡充、労働者派遣法の改正、賃金制度と最低賃金制の改革、長時間労働の規制、社会保険制度と生活保護制度の改革、住宅政策の拡充など多岐にわたっている。このうちの前文と賃金、住宅を担当した。 |
65.「大失業時代の労働組合のヘゲモニー戦略」 |
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2009年9月 |
『POSSE』4号 30頁~41頁 |
大失業時代の到来のもと、労働組合は主導的に時代の転換をはかるヘゲモニー戦略をもとことの重要性を指摘した。年越し派遣村がその可能性を示したが。さらにトータルな福祉国家戦略をもつことが緊急であることを強調した。 |
66.「『格差論壇』MAPとは何なのか」 |
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同上 |
同上 99頁~103頁 |
日本型雇用が解体しつつあるなかで議論を整理するために、縦軸に「ジョブ」と「年功」、対抗軸に「規制緩和」と「規制強化」を配置して、マトリックスを描いた。今日では、縦軸が「ジョブ」と「属人」、横軸が「生活保護
小」と「生活保護 大」とにすべきだと考えている。 |
67.「『年功賃金』は持続不可能
『ジョブ型賃金+福祉国家』へ移行を」 |
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2010年2月 |
『エコノミスト』2月9日号 88頁~89頁 |
ワーキングプアの増大は、戦後の労働と生活を成り立たせたシステムの根本的な転換を迫っている。図をまじえ短文で方向性を示した。限定正社員についてもふれた。 |
68.「腐朽する日本の人事制度と周辺的正社員」 |
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2010年12月 |
『POSSE』9号 92頁~99頁 |
2000年代以降に登場してきた周辺的正社員は、これまでの年功制が縮減していることに注目した。人事制度では成果主義の普及とともに、ポスト給やノルマ主義が従業員に過酷な労働を強いていることを明らかにした。 |
69.「反貧困の賃金論」 |
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2011年3月 |
『世界』814号 185頁~192頁 |
貧困が広がり、ワーキングプアが増大する中で、貧困を克服するためには、賃金論の再検討が必要とされる。そのために、生活賃金や生活給、家族賃金、世帯賃金などの概念を整理した。生活給思想にもとづく春闘要求が性差別的であったことを示す貴重な図も紹介し、反貧困の賃金運動も提示した。 |
70.『建設独占を揺るがした139日』 「関西生コン労組のストライキが切り開いた地平」 |
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2011年4月 |
変革のアソシエ |
(全体概要)日本の労働運動が衰退するなか、突如として関西生コン労組を中心にした大ストライキが展開された。この闘争を分析した。 (担当部分概要)60頁から81頁「関西生コン労組のストライキが切り開いた地平」、このストを実現することができたのは、関西生コン支部の労働組合がジェネラル・ユニオンであり、業種別職種別運動を積みかさねてきたことによる。この経験を活かすことで労働組合は再生することができることを強調した。 共著者:武健一、丸山茂樹他3名 |
71.「東電の暴走と企業主義的統合―労使癒着によるチェック機能の完全喪失」 |
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2011年5月 |
『POSSE』11号 17頁~27頁 |
福島第一原発の事故にすべての国民がなんらかの責任があるとするならば、筆者は、東電労組がチェック機能を喪失していることを知ってはいたが、ひろく知らせることをなさなかったことだと考えた。東電労組の労使癒着を生みだした労働者の企業主義的統合のメカニズムを明らかにしつつ、これが日本の労働運動の衰退をもたらしたものであることを強調した。 |
72.「うつを生みだす人事制度」 |
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2012年3月 |
『POSSE』14号 79頁~84頁 |
多くの従業員が「うつ」によって退職をよぎなくされているX社の人事制度を検討した。これまでの会社人間のように年功制のもとにありがなら過酷な労働を強いられていた仕組みとX社の人事制度は異なっている。年功制なき人事制度の過酷を検討した。 |
73.『若者の逆襲』 |
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2012年10月 |
旬報社 |
筆者も参加したゲテン系連帯の運動など2006年から貧困や派遣切り、派遣法などに関わる新しい運動が興隆してきた。しかし、民主党政権の動揺・崩壊とともに「敗北的中断」をきたしている。本書では、この間の運動を総括しつつ、今後は、日本を変えるラディカルな戦略と、個別課題にもとづくグラジュアルな運動を積みかさねることの必要性を述べた。 |
74.「若者の過酷労働と生活時間要求」 |
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2012年12月 |
『POSSE』17号 142頁~154頁 |
「ブラック企業」で象徴される若者の過酷労働は、人事労務管理の新しい段階によってもたらされていることを明らかにした。年功賃金・終身雇用制との引き替えの過酷労働から、労働市場圧力による過酷労働にすり替わっている。より過酷さは増していることを示した。 |
75.「安倍『労働改革』の目的と方法、その結果―日本版『労働力流動化』か、労働市場政策か-」 |
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2013年9月 |
『POSSE』20号 18頁~29頁 |
安倍内閣の「労働改革」は、日本型雇用を前提にした個別企業での雇用維持型政策から、労働移動型政策への戦後労働政策の大転換である。しかし、政策の結果は、国家資金を投入した国家的大リストラであることを明らかにした。 |
76.「限定・無限定正社員問題と労働運動の課題」 |
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同上 |
同上 45頁~55頁 |
「労働改革」でだされた限定正社員には意見が分かれている。これは国の制度ではなく、企業内の人事制度である。労働運動は、日本型正社員=無限定正社員の無限定性にこそ着目すべきであること、また、非正社員の雇用不安を考えるならば、非正社員の限定正社員化(無期雇用)に全力をあげるべきであることを強調した。 |
77.「貧困・過酷労働の深まりと生きる権利」 |
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2013年9月 |
『家庭科研究』311号 10頁~15頁 |
今日の貧困・過酷労働の深まりを、家計自立型非正社員と周辺的正社員という言葉で解説した。若者における非正社員の拡大と、週労働時間で「60時間以上」の者の増加の図を示した。 |
78.「リストラ・『追い出し部屋』と日本型雇用の変容」 |
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2014年3月 |
『POSSE』22号 71頁~79頁 |
1990年代末からのリストラと今日の「追い出し部屋」の実態をみると、日本型雇用の規範を経営者が破棄したと考えられる。「解雇」に痛みを感じない経営者の登場である。この点を強調した。また、これから民間大企業では、「年功制・終身雇用制なき日本型雇用」が人事制度として取り入れられる可能性を示した。 |
79.「ベアゼロ時代の官製春闘」 |
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2014年5月 |
『世界』856号 20頁~24頁 |
2002年春闘からベアゼロ時代に入った。しかし、2014年の春闘は安倍内閣の強い要請でベアが実現した。その背景を検討した。ベア実現は経営側の「エビで鯛を釣る」思惑からだった。アベノミックスによる企業の高収益を持続させるには国民の内閣への信任を保たなければならない。そのためのベア「エビ」は安いものと結論づけた。 |
80.「崩れゆく日本の労働社会とその再構築」 |
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2014年6月 |
『生活協同組合研究』461号 5頁~13頁 |
本稿で、2000年代以降、日本型雇用は解体過程に入ったことを強調した。非正社員の増大と正社員のリストラによって終身雇用制が、純正の成果主義の登場によって年功制がそれぞれ崩れつつある。「何が、どのようにして崩れ、どう再構築するのか」を検討した。 |