本文へスキップ

産直運動の推進のために。

○○○○○○○○○○○○○○○小越洋之助のページ

「産直とはなにか」、今一度、問い返すために。

information新着情報


2022年06月03日
ルポ・埼玉産直センター、土づくりにかけた人びと・農村地域をささえる微生物農法」(『産直新世紀』、山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月)
2022年04月11日
「ルポ・多古町旬の味産直センター、街と結んで村を守る」(『産直新世紀』、山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月)
2022年03月03日
『産直新世紀――こだわりの「農と食」をつくる人びと』(山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月)
2022年03月03日
プロローグ 産直とはなにか:山田達夫
 1 産直と産直運動発展の背景/2 消費者の安全で健康な食生活への願い
 3 ほんとうの産直を求めて(山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月)
2022年03月03日
『産直新世紀』の目次
 
第一部 産直新世紀――子どもたちの未来に食と農を伝えるために(矢吹紀人)
  第1章 産直の礎を築いた人びと
   折笠農場(北海道)/平田牧場(山形・鶴岡市)/埼玉産直センター(深谷市)/紀ノ川農協(和歌山県)/下郷農協(大分県)
  第2章 ほんものの食品づくりにかけた人びと
   大醤株式会社(奈良県)/近江農産組合(滋賀県)/小谷穀粉株式会社(長野県)/伊是名島漁業協同組合(沖縄県)
  第3章 地域をきずき、未来を開く産直
   ナカシン冷食株式会社(鹿児島県)/協同組合ゆあさ(和歌山県)/多古町旬の味産直センター(千葉県)
  
   第二部 日本の農業・食糧と産直運動 山田達夫
  第1章いま、日本の農業・食糧は
 l WTO諸協定のもとでの農産物輸入の総自由化
 2 農業協定による新たな農産物輸入制度の概要  
 3 検疫。衛生措置協定と農産物の「安全性」。食品衛生法「改正」
 4 農業諸協定承認にともなう政府への対応と新食糧法  
  第2章 産直運動とその意義
 1 農業を守り安全な食糧を確保する運動の高まり  
 2 生協の産直運動とその意義  
 3 産直をになう組織された生産者とその意義 
 4 産直運動の未来  
  
あとがき  
2022年03月03日
ルポ:紀ノ川農協――希望をつくりだす協同のネットワーク●和歌山県・紀ノ川農協の“顔の見える産直” 今崎暁巳(『PROSUME』(プロシューム)を編集・制作(労働旬報社、1988年7月発行)
2022年03月03日
『PROSUME』の発行――国産の食を通して都市と農村をつなぐ(『PROSUME』(プロシューム)を編集・制作(労働旬報社、1988年7月発行)
2022年03月03日
ルポ:紀ノ川農協――地域の青年を組織して、若者たちの始めた産直がいま地域までを巻き込んで矢吹紀人(『産直新世紀――こだわりの「農と食」をつくる人びと』(山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月)
2022年03月03日
生活文化情報誌:『月刊 PROSUME』(のちに『プロシューム』)の発行。
月刊誌『PROSUME』(プロシューム)〔A4判、48ページ、大阪よどがわ市民生協発行・労働旬報社編、1989年4月30日発行から1997年末で終刊〕
2022年03月03日
『太陽と大地の間で 顔のみえる産直ネットワーク』の発行。矢吹紀人著(シーアンドシー企画制作、大阪よどがわ市民生協発行、B5判、66p、1991年4月刊)

  
◆以下、ご自分のPCを「150%」に拡大して、読むことをお勧めします。

 






本ページは、編集子が当時、「現代社会を考えるシリーズ」と銘打った本づくりを行っていた時代に編集した『生活と地域をつくりかえる―願いわけ集団づくり』(二宮厚美著、1985年5月)、『暮らしと女と街づくり―協同のネットワーク』(今崎暁巳著、二宮厚美・序、1986年1月)、『生協の挑戦―協同で生活文化を創る』(大島茂男著、1986年2月)、『協同組合で働くこと』(労働旬報社、1987年5月30日、芝田進午編 西村一郎・永戸祐三・富沢賢治他)、『生協運動の新時代』(山田 達夫・二宮厚美編、1988年11月)の編集・企画の中で出会った「大阪よどがわ市民生協の柴田光郎専務」の要請で編集し始めた、「生協・産直」の役割と「都市と農村を結ぶツール」としての生活文化情報誌の発行を契機にして、農村巡りをして取材・企画した成果です。






    ▽「産直 日本の農業」のページ・TOPへ

       
   









   
   




▽2022.03.03
『産直新世紀 こだわりの「農と食」をつくる人びと』
(PDF版)




◇(山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年5月30日 第1刷発行)












プロローグ 産直とはなにか

 
 1 産直と産直運動発展の背景

 野菜や牛乳などの産地直送あるいは産地直結などという言葉の略称から、産直という新しい言葉が使われだしたのは一九六〇年代前半であった。三〇年を経過した今日、産直は市民権をえた言葉になってはいるが、残念ながら言葉の合意は必ずしも統一されていない。だが、産直概念の検討はしばらく措き、とりあえず、そうしたものがでてきた背景、そして、自覚的な生産者・消費者(ないし組織)がどういう考えから産直にとりくみ、発展させてきたのか、彼らが考える産直とはどういうものなのか、産直と産直運動の背景と発展の経緯をふくめて簡単に見ておきたい。
 六〇年安保の強行によって、日米間の軍事的。政治的。経済的「協力」体制がつくられ、経済面では「開放経済」「自由化体制」が、国内の高度成長とタイアップしてすすめられた。農業にかんしても、自由化と高度成長の枠組みのなかで、それまでの農政を一八〇度転換したといわれる「基本法農政」のもとに、大規模集約化と機械化体系の導入によって生産構造を改善し、単一作目生産への専門化をすすめて、従来からの稲作だけでなく野菜・果樹・畜産などの、発展すると思われる分野の生産を選択的に拡大する政策が採られた。そこでは、地力の維持を図るよりも労働生産性を高めることに重点をおいた。かたよった省力化や経済効率主義が追求され、一部の農業経営の上向と大多数の下向という選別化や農民層の分解が急激に進行した。
 さらに、「総合農政」の展開とともに、自主流通制度の新設や減反の実施、農地法。食管法の改悪がおこなわれ、農地転用や離農など、土地と労働力の流動化がいっそうすすんできた。同時に、一例を野菜に見ると、主要野菜の品目を定めて大規模な作付・出荷を指定した指定大規模生産団地を設定し、それらと指定消費地としての人口集中都市とを結ぶ全国規模の大量流通が、野菜流通の中軸に位置づけられて展開するようになった。そのため、従来からの多品目少量生産・個人出荷・近郊地域内流通は、経済効率が劣るものとして次第に切り捨てられ、それらに代わって単品大規模生産・大量共同出荷・遠隔地間広域大量流通が急速に形成。拡大して今日に至っている。
 このような生産・流通の大幅な変化は、確かに需給関係に対応する一面をふくんでいたが、基本的には、農業(ここでは野菜の)生産・流通・消費(食生活)の本来的なあり方からいちじるしく逸脱して、生産・消費両面に深刻な問題を投げかけることになった。
 生産の場において、多くの指定産地では、大規模単作化・連作化にともなって耕種部門と畜産部門が分離・切断されて地力(土地生産力)が低下し、生産減退や連作障害など深刻な問題が生じている一方、小規模経営の耕畜複合や多品目少量生産が縮小・後退して、土づくりを基本にした本来あるべき農法からの逸脱がいっそう拡大した。
 いわば、生態系を維持し自然力に依拠して生産をおこなう環境保全型農業が切り捨てられ、地力や自然力の収奪・生態系の破壊によって生産を維持する環境破壊・汚染型農業が政策的に推進されたのである。目先の合理化の追求や地力の減退をカバーするために、ややもすれば、化学肥料・農薬の多投という悪循環が繰り返されてきたが、それがますますすすんで、消費者の期待する「安全でおいしくて栄養価の高い農産物」から、いっそうかけ離れたものしか生産できない状況が広がってきた。輸入農産物の農業汚染はいっそう深刻である。また、単作にもとづく経営の不安定化、不当に高価な機械。設備の「過剰投資」もきわめて深刻な問題となってきている。
 流通面では、中央卸売市場(とくに大都市中央卸売市場) への過度な集中がすすみ、市場数では五%にすぎない中央卸売市場の集荷量が流通量の半ばを占めるに至って、中央での価格の低迷や不安定化をもたらすとともに、逆に地方市場での高騰を招くなど、中央卸売市場と地方卸売市場の分断現象が現われ、市場全体としての需給調整機能の欠陥を露呈している。また、地場流通が急激に後退するとともに、大口集荷業者や荷受大資本による流通支配が強まって、生産者・消費者の意向を無視した過度な選別や包装が一般化し、厳選競争・大型施設投資などを通じて産地間競争をいたずらに激化させている。市場間転送の増大によるコスト増や鮮度低下の問題も無視できない。

 2 消費者の安全で健康な食生活への願い

 消費者の側としては、ほんとうに欲しいものが手に入りにくくなっている。たしかにその土地で採れないものも手に入り、一年中キュウリやトマトはあるが、反面、地場の旬の路地ものを中心にした季節感に満ちた豊かな食生活が消えかけて、旬のものの特徴である新鮮で美味しくて栄養価も高く、しかも安いものが入手しにくくなってしまっている。また、安全な食品をという切実な願いに反して、化学肥料・農薬の多投による農産物への残留農薬問題が深刻になっている。さらに、施設園芸の拡大につれて、高級化という名目で高価格化がすすみ、そういうものを、好むと好まざるとにかかわらず、消費者としては受けいれぎるをえないというような状況ができている。
 経済的合理性のみを追求した集約的大規模生産や、広域大量流通の過度な行き過ぎ、ゆがめられた食生活など、六〇年代・七〇年代を通じて強くでてきたこのような問題点を正すためには、従来みられたような、土づくりに根ざした複合経営生産と安全で健康な食生活との一定程度の復権が是非とも必要であった。こういうなかで、「産直」が問題になり、とりくまれてきたという経過がある。
 当初、産直をいいだしたのはスーパーであった。高度成長期、とにかく物価がどんどん上がっていく、野菜も高い。産地ではキャベツができすぎて市況が悪く運賃もでないで放置されている。ところが都市の店頭では品薄でうんと高い。これはどうも複雑な市場構造のせいで中間流通経費が高すぎるんじゃないか。直接とればもっと安くなる、ということで言葉どおりの産地からの直接買付けという市場外流通が始まった。
 当時の、スーパーの「目玉」としての、こういう「つまみ喰い的」産直が定着することはほとんどなかったが、さらに、革新的な自治体が、従来からの朝市などを支援するかたちで運動を始めたり、また、「良いものを」という生産者と消費者の共通の願いが、人と人とのつながりのなかで、あるいはグループ同士のつながりのなかで、直接取引という独自の流通ルートを開拓しながら、徐々に一定の広がりをもつようになってくる。さらに、生産者団体・消費者団体の協同の運動として産直を見つめ直し、発展させていこうという動きがでてきて、試行錯誤を繰り返しながら、両者の要望を実現していくようになっていく。
 農薬・化学肥料の多投を前提とする単作大量生産、見せかけ・過剰規格による広域大量流通、にせもの・まがいもの食品の氾濫など、生産者や消費者の願いとは無縁のところで流通資本の市場支配がすすみ、「ほんもの」や「良いもの」が排除されていくなかで、市場動向に逆らって「ほんとうにいいもの」の確保を別個のルートで協同の運動としてとりくんだところに、自覚的な人びとの共感が得られたのである。

 3 ほんとうの産直を求めて

 こうした経過を見てくると、産直は、たんに消費者が安いものを求める産地直送だけを意味するものでないことはたしかで、むしろ、それ以上に「ほんもの」や「良いもの」や「安全なもの」を生産し、消費するための、生産者(産地)と消費者(消費地)とを結ぶ連帯事業であることが明らかになってくる。産直をこのようなものとみると、産直という言葉が生まれるはるか以前から、産直の実態を備えたものがあったことに気づく。地方都市に多く見られた振り売りや朝市など、顔のみえる、特定の人と人とのつながりを大切にした商いは多かったのである。
 さらに、日本農業の縮小・再編に向けた政策の結果として生み出された深刻な事態を、生産者と消費者の連帯した運動のなかで切り開き改善していこうとするこうした動きは、必然的に、その根底にある政策方向の是正を運動のなかに組み込んでいかざるを得ない。当然、産直運動は、日本の農業や食糧を守る運動としての位置づけをもつことになる。
 産直が発展し、このように豊かな内容をふくんできているいま、産直は、出発点での理由はさまざまであったにしても、現在では一定の理念や目的をふくんだ「ほんとうの産直」概念に収欽してきている。産直を形態論的に分類・定義づけることも必要ではあるが、同時に理念・目的論としてもとらえねばならない。両者を合わせた産直の正しい規定が必要なのである。
 さらに、理念や目的のなかで、何に重点をおくかで産直内容は玉石混交、きわめて多様なものとなるし、輸入農産物の激増のなかで問題はいっそう複雑になってくる。
 詳細は本書第二部にゆずるが、先走って要点を述べさせていただくなら、私は農産物の産直を以下のように考えている。
 すなわち、(農産物)産直とは、経営の安定。やりがいのある農業・健全な農法を求める生産者の組織と、安全で新鮮・良質な農産物を求める消費者の組織との、第三者の介入を排除した、信頼にもとづく協同・連帯の直接取引をいい、そして、産直運動は、このような産直内容の実現と発展のために、地域づくり・村おこし、食生活・食文化の見直し、くらしの協同の見直し、流通過程の改革、日本農業・食糧生産の維持・再建をふくむ協同連帯の活動なのである。
 ただ、ここでは、この産直の規定に余りこだわらないでいただきたい。抽象的に言葉だけで説明するよりも、以下(本書第一部)に紹介される産直産地の生きいきとした実態や発言から、ほんとうの産直とはなんなのかを読みとっていただく方が、はるかに具体的で分かりやすいのではないかと思われるからである。検討はその後でよいのではなかろうか。
(山田達夫)

◎著者紹介
山田達夫(やまだ たつお)
1929年新潟県生まれ
現在:大阪経済大学教授、大阪よどがわ市民生協理事長。
主な著書(共著を含む):『明治前期京都府林政史資料」(日本経済史研究
所。有斐閣)、『戦後日本農業の史的展開』(ミネルヴァ書房)、『土に生き
る』(明文書房)、『日本の林業問題』(ミネルヴァ書房)、「日本経済史第八文献』(日本経済史研究所・清文堂)、『生協運動の新時代』(労働旬報社)『FOREST POLICY IN JAPAN』(日本林業調査会)、『近畿型農業の史的展開』(日本経済評論社)、『日本林業の市場問題」(日本林業調査会)、『日本の食糧・日本の農業』(C&C企画・労働旬報社)、『地球環境とくらし』(大阪経大学会)、『到来するか′?ボーダーレス社会』(大阪経済大学・湯川書房)、『新よどがわ生協物語』(C&C企画)、『経済史文献解題』昭和38年版以降 各年版(日本経済史研究所・日本評論社、清文堂)。












220603   



⇔『産直新世紀 こだわりの「農と食」をつくる人びと』
(山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月



       
               (クリックすると読めます)




























 あとがき

 
 本書の出版が企画されてから一年余りになる。それは、産直運動が正しく発展し拡大する一方で、無原則に拡散され歪曲された産直運動が横行しはじめているなかで、日本の農業・食糧を守る運動としての産直に真剣にとりくんでいる人たちから、とくにここ数年が運動の正念場になろうとしているいま、運動を大きく発展させるための現状の内在的批判と「ほんとうの産直」の限定が必要なのではないかという意見・要望が強くだされてきたことによる。
 同時に、いま所属している消費者組織がいつの間にか流通業者になり変わってしまい、産直が運動の当初とかなり違ってきて、産直商品もなにかおかしいという不満をしばしば耳にするようにもなってきている。私たち自身も、各地の産直産地を訪ね、消費者とも話し合うなかで、同じ思いにかられていた。
 企画には全面的に賛同しながらも、また、矢吹氏のルポルタージュ部分は一月中にできあがっていたにもかかわらず、小生のあいかわらずの雑用と怠慢とによってなかなか執筆のためのまとまった時間がとれず、今日まで遷延してしまった。ご迷惑をかけた矢吹氏には改めてお詫びをしたい。また、C&C編集長の飯島信吾氏、大阪よどがわ市民生協副理事長柴田光郎氏には、企画から出版にいたるまでなにかと大変お世話になった。さらに、多くの生産者・消費者の皆さんには、調査や取材に際して暖かいご協力と変わらぬ激励とをいただいた。
 心からの謝意を表明したい。
 なお、ここで、本文で述べられなかった二、三の点について、一言ふれておきたい。
 一つは産直規定に関する問題である。一部の無原則ともみられる産直の拡大解釈にたいして、無農薬・有機生産こそが産直であり、それ以外は産直と認めないという厳しい批判と産直観が一部にみられる。しかし、そのような見方は、産直運動を極端に限定された枠のなかにとじ込めることになりかねない。たしかに無農薬。有機生産は産直の重要な目標の一つであり、すでに実現している産地も少なくないし、また、有機生産に限定すればほとんどの産直産地がとりくんでいると見てよいだろう。
 しかし、農薬使用をただちに全面的に産直から排除すべきであるということにはならない。
 病虫害の発生しやすい日本の自然条件のなかで一定の食糧を確保しなければならないことからいっても、生産者の収入の安定確保の面からいっても、現状では、土づくりなど病虫害の発生しにくい条件を拡大していくなかで、環境と作物の状況にあった節度ある必要最小限の農薬使用は是認せぎるを得ない。産直産地にたいしては、当面、極力、使用を控え、とくに危険なものの使用を止め、比較的安全な農薬を安全な形で使うことを求めることになろう。
 土づくりと低農薬・省農薬への努力は、消費者の食生活の見直しの努力と相まって、やがては農薬使用の大幅削減・無農薬につながる。すでに無農薬・有機農業を実現している多くの先進的な事例は、そのことを教えている。他方、有機であれば産直であるという見方は、あまりにも無限定で問題にならない。
 二つめは、消費者が産直にとりくむ出発点としての食生活の見直しに関する点である。最低、身の回りの問題として、消費者個々人が、食事や食材にたいする見直しをすすめ、これまでの判断基準を見直すことから始める必要があるように思われる。消費者一人ひとりが、どちらかといえば、みてくれの外見のよさや簡便性にとらわれがちであった食品選択基準を、少々外見が悪く不揃いであっても、安全・安心で美味しく栄養価も高い「よい」ものをという基準に改めることが、まず、必要である。少なくとも、ほんとうによいものが外見上は余りよくない場合もしばしばあることを知るべきである。
 また、調理の手間を省く簡便さのために食材の品質を犠牲にするようなことがあってはならないだろう。手料理の食卓を囲み一家団らんの場として豊かな食生活を楽しむような条件が、いま、社会的にかなり狭められ、失われてきている状況にあるが、人間として生き方や豊かさにかかわる基本的な問題であるだけに、できるだけそのような機会を広げることも必要であろう。基準の見直しには、なによりも農業を知ること、農業生産の現場を見ること、できれば体験することが有効である。消費者にとって「よい」ものと生産者の「よい」ものとは合致する。
 三つめは、生産の側での生産協同の実現についてである。いうまでもなく、コストダウン・高生産性の追求を大規模化だけに求める見方を全面的に改め、合わせて小規模経営と、そこでの労働力の完全燃焼とその採算化を追求していくべきである。そのためには、可能なかぎり、耕畜地域複合を原則に、有機・減農薬農法の実現に向けて、大規模農業と小規模農業を併存させるような生産協同(農業者生産協同組合)の実現にとりくむ必要がある。そこでは、老齢化・兼業化などにともなう多品目少量生産の小規模経営をも、その生産者の力量と実態に応じた協同・助け合いをつうじて地域内で維持し、地域農業を守っていくことが大切である。協同によって地域農業を維持し、生産者。消費者の連帯を、あらゆるレベルで一層拡大し強化していくことが、いま、とくに必要になっている。この厳しい現状を克服したとき、地域農業の未来は開かれる。
 一九九五年五月
   執筆者を代表して  山田 達夫





   
   


⇔『PROSUME』(プロシューム)を編集・制作(労働旬報社、1988年7月発行)











 「今崎暁巳のページ」(制作:インターネト事業団)
 

 今崎暁巳(作 家):プロフィール
 1930年生まれ 早稲田大学大学院卒
 日本民主主義文学同盟幹事 東京憲法会議代表委員
 ▽主な著書
 『いのちの讃歌』『伊那谷は燃えて』『友よ!未来を歌え』『三菱帝国の神話』『若者はいま歩みはじめる』『この人生に愛なくば』F故郷は緑なり』『ドキュメント日本航空』『生活ごいっしょに』(以上労働旬報社)
 『千代田丸事件』(現代史出版会)『新たな連帯を求めて』(学習の友杜)『お母さんきれいだね』(日生協)『夢を、もっと大きな夢を』(富民協会)
 映画シナリオ/「娘たちは風にむかって」「あしたの火花」「炎の第五楽章」
 テレビシナリオ/「判決」シリーズ「若者はいま歩みはじめる」





   
   


▽2022.03.03
◇〔B5判、50ページ、大阪よどがわ市民生協発行・労働旬報社編、1988年7月30日発行〕           (PDF復刻版













  



別のページ
◆主なCONTENTS

 どうなる農業・どうする食糧 五眼で見た日本の農業と食糧 二宮厚美
 「食」と「暮らし」と「農」にこだわる
   嘩峻淑子/中林貞男/レオナルド熊/寿岳章子/山田達夫
 ルポ・日本列島すみずみ産直ネットワーク
 北の大地・離農の国にたしかな息吹●北海道十勝・折笠農場グループ 矢吹紀人
 希望をつくりだす協同のネットワーク●和歌山県・紀ノ川農協の“顔の見える産直” 今崎暁巳
 いとおしんで作って いとおしんで食べる●滋賀県・愛知中部農協の“農業好き”仲間づくり 小山乃里子
 土づくり・人づくり・地域づくりの産直運動●大分県・下郷農協 二宮厚美
 パイン自由化の大波のもとで●レポート沖縄から 池原秀明
 どうする日本の農業・食・暮らし
   増田れい子/渋谷定輔/亀田得治/村上昭子/宮村光重/田代洋一/河相一成/小林節夫
 インタビュー:日本の伝統食からまなぶ 宮本智恵子
 暮らしのなかから食生活をつくりかえる 私たちの食卓からみた「暮らし」つくりかえ 姫野恭子
 共同購入配送車のふれあい
 レポート消費者の立場から 輸入食品は安全で、安心か? 大嶋茂男
 FOOD’S NOW 食文化のなかから食品と農業を考える 二宮厚美
 いま生協の商品政策が問われている 産直の力をさらにひろげて 柴田光郎

 ▽発行当時の奥付
 「プロシューム」定価=500円
 1988年7月30日発行 発行人/山田達夫
 発行/大阪よどがわ市民生活協同組合
 編集・発売/㈱労働旬報社
 〒112東京都文京区目白台2-14-13
 STAFF 編集●飯島信吾/矢吹紀人/NEOPLAN
 デザイン●河田純/阪本正義/古賀孝和
 イラスト●しらはまみちよ/ときわまさゆき/藤巻央滋/皆川正次
写真●共同通信/連合通信/カメラ東京サービス






   
   


⇔『産直新世紀 こだわりの「農と食」をつくる人びと』
(山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月)




       
               (クリックすると読めます)







   





























   


⇔『産直新世紀 こだわりの「農と食」をつくる人びと』
(山田達夫・矢吹紀人共著、シーアンドシー出版、1995年6月)
       
       (クリックすると読めます)




















▽矢吹紀人
(やぶき としひと)

1953年東京生まれ
慶応義塾大学経済学部卒
主な著書:『夜明けの旗』『湘南学園物語』『企業社会の扉をひらけ』(以上、労働旬報社)『いのちへの証言』『北風よ夜明けに吹け』『お母さんはビスケット』(以上、機関紙共同出版)『太陽と大地の間で』『歴史を紡ぐ人びと 第1集』『新よどがわ生協物語』(シーアンドシー出版)


                               


  • 月刊誌『PROSUME』(『プロシューム』)〔A4判、48ページ、大阪よどがわ市民生協発行・労働旬報社編、1989年4月30日発行から1997年末で終刊〕          (橙色をクリックして→WEBページへ) 

  

  • (シーアンドシー企画制作、大阪よどがわ市民生協発行、B5判、66p、1991年4月刊)           

  

 太陽と大地の間で
    顔のみえる産直ネットワーク

B5判、66p、1991年4月刊

①キャベツ畑は草だらけ[滋賀県安土町・滋賀県農民組合農産物出荷センター]
②レンコンは浪速っ子[大阪府門真市・三ツ島レンコン出荷組合]
③故郷の山はみどり[静岡県藤枝市・静岡無農薬茶の会]
④日曜日には日本晴[滋賀県蒲生町農協]
⑤今年もスイカがあ~まいぞ[滋賀県安土町・大中むつみ会]
⑥みかんがつなぐ人と人[和歌山県那賀町・紀ノ川農協]
⑦リンゴ赤いかすっばいか[長野県佐久市・佐久中央果樹組合]
⑧山あり海ありボンカンあり[鹿児島県屋久町・屋久島特産物出荷センター]
⑨花嫁のくる村[長野県南高来郡・南高農民組合]
⑩子どもよ食文化の大使になれ[北海道幕別町・折笠農場グループ]
⑪給食が教えてくれる[千葉県多古町・旬の味出荷センター]
⑫今日も村から元気な便り[大分県耶馬渓町・下郷農協]
⑬おしんこが村おこし[滋賀県八日市市・近江農産]
⑭安全・ほんもの・「ガンコ」がとりえ[和歌山県湯浅町・協同組合湯浅しめじ]
⑮ヘルシー・おいしい・自然がいい[鹿児島県菱刈町・鹿北製油]
⑯平田の豚は市場にゃいない[山形県酒田市・平田牧場]
⑰トリの輪のなかに“人”[鹿児島県出水市・マイル農協]
⑱365日乳が出る[岡山県津山市・ホクラク農協]
⑲食卓が青い海をまもる[高知県高知市・翔栄興産]
⑳大地がくれた宝物(上)
㉑大地がくれた宝物(下)


◎著者紹介◎
矢吹紀人1953年東京生まれ
慶応義塾大学経済学部卒
主な著者:「夜明けの旗」「湘南学園物語」
「企業社会の扉をひらけ」(以上、労働旬報社)
「いのちへの証言」「北風よ夜明けに吹け」
「お母さんはビスケット」(以上、機関紙共同出版)

 

「産直ネットワークのページ」


 



 



 



 



 



 


 





























































「産直ネットワーク」のページ

編集人:飯島信吾
ブログ:ある編集者のブログ
企画インターネット事業団
制作: インターネット事業団(本メールにご連絡ください)

UP 2022年03月02日 
更新 2022年03月02日
更新 2022年03月03日
更新 2022年06月03日