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社会的排除への日本とイギリスにおける社会的企業の取り組みの調査・研究


 明治大学特定課題研究ユニット
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3 研究の準備状況および研究成果を発信する方法

3−1 研究の準備状況

3−1−1 本研究組織のこれまでの経緯

 本研究は、明治大学の中川雄一郎(経済学)・柳沢敏勝(経営学)・久保善慎(行政学)等を中心とした研究グループと立教大学の原田晃樹(行政学)・藤井敦史(社会学・組織論)、聖学院大の大高研道(教育学)等を中心とした研究グループの研究実績を基盤とした学際的な研究である。
 加えて、英国においては、イースト・ロンドン大学の.グラディアス・クロサンガン(社会的企業論、ソーシャル・イノベーション)、シボーン・リーダン(組織人事、ソーシャル・イノベーション)、モリー・アンドリューズ(政治学・社会学)、アリス・サンプソン(地域研究、都市再生論)、ジョン・グリフィス(社会的企業論、組織学習論)ら5名の教員が本研究に協力する。イースト・ロンドン大学の学部および大学付属研究所を含んだ横断的な支援を取り付けている。
 また、著名な社会的企業であるアカウント3のアントワネット・トニー・メレデュー、ジョセフィーヌ・アムオ、SESのマーク・サディントン、ケビン・マーカス等による研究者と実践家グループとの密接な協力関係を通じて行われるところに大きな特徴がある。

3−1−2 英国側研究グループとの研究交流

 これまで本研究会では、UELとの研究交流を頻繁に行ってきた。2010年5月、201110月、2012年2月とお互いの渡英・来日時に研究会議を継続している。
 20111031日に本学で行われた研究会では、UELのクロサンガン氏、リーダン氏ら3名からの報告を受け、イギリスにおける社会的企業の現状と課題、さらにイギリスにおける社会的企業の定義に関する意見交換をおこなった。
 世界的にも、社会的企業という概念は新しく、その定義も必ずしも定まっていないというのが現状である。イギリスおよび諸外国においても、社会的企業に関する学術論文の75%が2002年から2005年の間に出版され(Steyart and Hjorth 2006)、国際的にみても社会的企業に関する研究は緒に就いたばかりである。

3−1−3 明治大学とイースト・ロンドン大学(UEL)との大学間協定

 現在、明治大学が大学間協定を締結するイギリスの大学は、シェフィールド大学とマンチェスター大学の2校である。(マンチェスター大学については、全学的なものではなく人文科学部に限っての協定である)

 今回本研究会で国際研究プロジェクトをすすめるUELは、社会科学・法律学・経済・会計・ビジネスマネジメント・教育・金融・保険科学・人文学・情報コミュニケーション・メディアコミュニケーション・心理学・建築・アートデザイン・生物科学・コンピューティング・工学・スポーツ科学・測量地理情報科学などの社会科学および自然科学の学部・修士課程・博士課程を擁し、特に社会学を含む15分野においては、イギリス全土の大学のなかでも優れた評価を受けている(ガーディアン大学ガイド2007年)。

 共同研究を行っているUELの法学・社会科学学部による社会的企業研究は、イギリスにおいて屈指の成果を上げている。社会的企業修士課程プログラムを2001年よりイギリスで初めて開始した。社会的企業学科は2002年の開始であり、これもイギリスで初めてとなる。本共同研究の中心となるThe Center for Institutional Studies は、イギリス政府、地方自治体およびサードセクターからの研究受託をしており、その総額はこの10年で19千万円にのぼる。

 今回の共同研究では、社会科学法律学部のみならず人文学部、心理学部の教員・研究者も参画している。UELとしても全学をあげてのプロジェクトとしても積極的に本計画を進めている。本学としても、UELとの包括協定を視野にいれた共同研究の開始は有益なことと考える。

3−2 研究成果を発信する方法

 国際共同研究の成果を発信するために主として2つの方法を予定している。第一が、EMES等の国際学会での研究成果の報告と国際シンポジウムの開催である。第二が、日本語および英語による研究成果の出版である。すでに触れているように、とくに日本から世界に向けた発信が少ないというこれまでの事情があり、社会的企業やサードセクターに関する日本の実態についての国際的な理解が深まっていない。イギリスとの国際共同研究によってこうした限界を超えようとするのが本研究のひとつの目的となっている。